筋肉量が減ったことで特に著しく減少してしまうのが、安静時に消費されるエネルギー「基礎代謝」です
基礎代謝が減少することで、生活習慣に変化がない場合でも太りやすいカラダになってしまうでしょう。

これは筋肉量の減少にともない、食事をした時に自然と消費されるエネルギー「食事誘発性熱産生」が低下してしまうことが関係しています。
筋肉は、カラダ全体の中で最もエネルギーを消費する組織のため、筋肉量が減ることでその分エネルギーの消費量も少なくなってしまうのです。

ちなみに、短期間の無理なダイエットで痩せた後にリバウンドしやすくなってしまうのもこの理由が関係しています。
急激な体重減少により筋肉量が落ち、太りやすくなったカラダで食事量を元に戻すことによって、一気にリバウンドしてしまうというわけです。

食事の量は、以前とたいして変化していないにもかかわらず体重が増えているようであれば、それは筋肉量が低下している可能性が考えられるでしょう。

どんなに痩せていても、筋肉量が減ったカラダではきれいなボディラインは作れません。体脂肪が少ないうえに、しっかり筋肉量がついている状態に仕上げることで真にカッコいい体型が作れるのです。

中でも、見た目の影響を与えやすい「胸の筋肉」や「肩の筋肉」、露出の多い「腕の筋肉」などの部位は、筋肉量のありorなしによってだいぶ外見の印象が変わってきます。

筋肉量が低下すれば、ボディラインのメリハリはなくなり、痩せていてもたるんだ締まりのない体型に見えてしまうでしょう。

重い物を持ち上げるといった筋力は、単純に筋肉の太さ(筋断面積)と比例します。要は筋肉量が多く太くなっていれば筋力も強く発揮できるというわけです。
また、運動不足によって筋肉量だけでなく筋肉の持久力(筋持久力)や神経の伝達も弱くなり、体力の低下はどんどん進行してしまいます。
さらに筋肉は、正しい姿勢を維持する役割も担っているため、筋肉量が低下すると猫背など姿勢の悪化を招き、より一層疲労を蓄積する原因になるでしょう。

特に筋肉量の衰えは、上半身よりも下半身に現れやすいもの。脚が疲れやすくなったり、長時間立っていられずすぐに座りたくなったりする場合は、筋力アップのトレーニングを検討した方がいいかもしれません。

筋肉の役割は、力を発揮するという働きだけではありません。体温を保持するために“熱”を生み出す役割も担っているのです。

どんなに外が寒くても、カラダが一定の体温を保てているのは、筋肉が体温を保つために熱を作っているから。その熱を作るための筋肉量が低下すれば、カラダが冷えやすくなってしまうのは当然です。

女性に冷え性が多いのは、男性に比べてもともとの筋肉量が少ないからといえます。そのため、男性も筋肉量が少なくなればカラダが冷えやすくなってしまうでしょう。

筋肉量の減少が、結果的に冷え性による“カラダのだるさ”や“内臓の不調”を引き起こす原因になるのです。

人間の筋肉量は、普段から特に運動やトレーニングをしなければ、たいてい20代をピークに1年におよそ1%ずつ細くなっていくといわれています。

若いうちであれば、筋肉量の低下による支障はほとんど感じないものですが、年齢を重ねるにつれ、徐々にカラダのトラブルやさまざまな不調が表面化していくことでしょう。

このように、加齢が原因で生じる筋肉量と筋力の低下のことを「サルコペニア」といいます。高齢化社会になっている現在、このサルコペニアによって日常生活を過ごすうえで介護が必要になる高齢者が増えています。

要介護とまではいわないものの、筋肉量や筋力が低下したことで、股関節や膝関節が変形して痛みを発症する「変形性関節症」や、歩幅の減少・歩行速度の低下など、私生活に支障をきたす影響を及ぼす可能性は極めて高いといえるでしょう。

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